中小企業の徳政令となるか「民事再生法」!
第3号
最近、「民事再生法」という法律がよく見受けられるようになりました。
「国民の税金で民間企業を救済するのか」と問題になった「そごう」もこの民事再生法を申請しました。経営難の会社の借金を帳消しにしてくれる徳政令だとの声も一部ではありますが実際はどうなのでしょうか。
民事再生法は従来の和議法に代わり4月から施行された法律です。和議法の使い勝手の悪さを見直し、会社再建が可能になることを主眼としています。
次に揚げるのがその特徴です
その1、破産状態になる前に申し立てができる
和議法では破産状態になってからでないと申し立てができませんでしたが、民事再生法では、経営者が破産の恐れがあると判断した場合に申し立てができます。つまり、会社の経営が行き詰まる前に早めに手を打てる訳です。
その2、議決条件緩和
民事再生法では債権者の過半数、かつ、カットされる債務の債権総額の2分の1以上の賛成で議決できます。和議法では4分の3以上でしたからハードルはかなり低くなっています。
その3、その他
民事再生法では再建を進めやすくするために、事業の継続に必要な工場敷地などの競売停止や、担保の評価額に見合う金額を裁判所に納付すれば、担保権を消滅することができます。また、経営者は退陣することなく引き続き経営を継続できます。
こうしてみると借金はカットしてもらえ、また、経営は継続できるわけですから経営者にとって都合の良いことばかりのようですが、忘れてはならないの が民事再生法はいわゆる「倒産」の一形態だということです。
社会的信用は失墜するでしょうし、社員の動揺も生じるかもしれません。また、申し立てが裁判所 で棄却された場合は、破産宣告になります。
結局、自助努力で再建できるのが一番で、民事再生法を申請するのは自助努力では再建が困難な場合だけということになるでしょう。