上場株式等の今後の課税

第112号

上場株式等の譲渡益や配当等に対する軽減税率が平成25年12月末で廃止されることに伴い、平成26年からNISA(少額投資非課税制度)が始まります。今回は上場株式等の今後の課税とNISAについて解説します。

上場株式等の今後の課税

平成25年12月31日で終了するもの
上場株式等の軽減税率
現行の税制では、上場株式等に係る譲渡所得等及び配当所得については軽減税率が適用され、上場株式等の譲渡益、配当に対する税率は、10.147%となっています。
個人が平成25年中に上場株式を譲渡し、100万円の譲渡益が生じる場合には、101,470円の所得税・住民税が課税されます。
この上場株式等に係る譲渡所得等及び配当所得の軽減税率の制度が、平成25年12月31日をもって廃止となります。

平成26年1月1日から開始となるもの
上場株式等の軽減税率の廃止後の税率
平成26年1月1日以降の上場株式等の譲渡益、配当に対する税率は、20.315%となります。
個人が平成26年以降に上場株式を譲渡し、100万円の譲渡益が生じる場合には、203,150円の所得税・住民税が課税されることになり、平成25年中に譲渡する場合と比べて約2倍の税金が課税されます。

NISA(少額投資非課税制度)の開始
上場株式等の軽減税率の廃止に伴い、NISAが平成26年1月1日より開始されます。

NISAとは、毎年100万円を上限とする新規購入分を対象にその投資分に対する譲渡益や配当金等を最長5年間非課税とする制度です。
この制度を利用するためには、証券会社等でNISA口座を新たに開設する必要があります。 注意事項
① NISA口座は1人1口座であるため、特定口座とは異なり証券会社ごとに口座を開設することはできません。

② NISA口座は、1月1日において20歳以上であれば誰でも開設することが可能です。

③ 年100万円に満たない投資額の未使用枠を翌年に繰り越すことはできません。

④ 特定口座や一般口座で保有している上場株式等は対象となりません。NISA口座での新規購入分が対象となります。

⑤ NISA口座で生じた譲渡損は、他の特定口座や一般口座の譲渡益と通算することができません。また、その損失を繰越すこともできません。

⑥ NISA口座で購入した上場株式等は、非課税期間の5年満了時にその株式を再取得したものとみなして、取得価額が再計算されます。そのため、満了時の価額が当初の購入価額を下回っている場合には、譲渡時に実際の利益よりも多く課税(売却額-満了時の価額)されます。

終わりに
このようにNISA口座では、上場株式等の譲渡益や配当金等が非課税となるメリットがあります。一方、譲渡損が通算できず、その損失を繰り越すことができません。また、非課税期間満了後の譲渡について、実際の利益より多く課税されるというデメリットもあります。
NISA口座で上場株式等を購入する場合には、十分に検討する必要があります。

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