給与を上げて税金を減らす!?

第111号

平成25年度税制改正では、従業員への給与等の支給額を上げた場合に、税額控除が出来る制度(所得拡大促進税制)が創設されました。

給与を上げて税金を減らす!?

適用要件
青色申告書を提出する法人が、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年)において、以下の①②③の要件を全て満たした場合、従業員に対する給与等の支給増加額について、10%の税額控除ができる制度です。控除限度額は、法人税額の10%(中小企業は20%)となり、個人事業主は所得税額の10%が限度となります。
① 給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加していること。

② 給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと。

③ 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと。

用語の解説
○基準事業年度
平成25年4月1日から始まる各事業年度の直前の事業年度となります。3月決算法人の場合は、平成25年4月1日からが適用事業年度となるので平成24年4月1日から平成25年3月31日が基準事業年度となります。
○給与等支給額
従業員に対する給与や賞与の額で、役員と役員の親族及び使用人兼務役員に対して支給する給与や賞与は除かれます。
○平均給与等支給額
給与等支給額を適用事業年度における給与等の月別支給対象者数を合計した数で除して計算した金額をいいます。 具体例
「前提」
・適用事業年度の給与等支給額5,000万円(12人)
・基準事業年度の給与等支給額4,000万円(10人)

① 給与等支給増加割合
5,000万円-4,000万円=1,000万円(増加額)
1,000万円/4,000万円×100=25%≧5%
∴要件クリア

② 給与等支給額
5,000万円≧4,000万円 ∴要件クリア

③ 平均給与等支給額
5,000万円/12人≧4,000万円/10人
∴要件クリア

上記要件を全て満たしたため、以下の税額控除の適用を受けることができます。

1,000万円(増加額)×10%=100万円

終わりに
所得拡大促進税制の税額控除を受けるためには、給与の支払額を増やす必要があります。よって、計画的に人材投資等を行った結果、この制度を適用できたというくらいで捉えて頂く方がよいかもしれません。
また、以前からある「雇用促進税制」との選択適用となりますのでご注意下さい。
疑問点やご相談などがありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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