「領収証」等に貼る印紙の取り扱いの緩和について

第114号

「所得税法等の一部を改正する法律」により、印紙税法が改正され平成26年4月1日より「領収書等」に貼る印紙の取り扱いが緩和されています。今回はこの点について説明します。

 

「領収証」等に貼る印紙の取り扱いの緩和について
1.「領収証」等に係る印紙税の非課税範囲の拡大
平成26年3月31日までは事業者が金銭を受け取った場合に作成する領収書(「金銭又は有価証券の受取書」注①をいう)などは原則、その記載金額が3万円未満のものは非課税とされていました。
今回の改正で、こちらについて4月1日以降の受け取りの場合に作成される領収書等について、5万円未満のものについて非課税とされました。
つまり、4月1日以降の領収書に記載された金額が5万円未満であれば、印紙を貼る必要がありません。

注①「金銭又は有価証券の受取書」とは
「代金を受領した、または有価証券の引き渡しを受けた際にその受け取り事実を証明するために作成する文書」をいい、一般的には次のものが挙げられます。
領収書、領収証、受取書、レシート、お買上票など
ただし、文書の作成目的が代金の受領を目的としない、いわゆる、修理票、引換証や物品の受取などの際に作成されるものは上記の「金銭の受取書」には該当しませんので印紙を貼付する必要はありません。
2.領収書の記載金額
領収書に貼る印紙の金額は、その領収書の作成方法により次のように取り扱われます。
(1)領収書に消費税等(消費税及び地方消費税)が区分されて記載されている場合

                             領収証   
                                                       平成26年4月14日
○○様

¥52,920円(内消費税等3,920円)

○○代として上記金額を領収いたしました。
               株式会社○○

⇒4万9千円<5万円

印紙不要

消費税等の金額が区分記載されている場合には、印紙税の対象となる金額は消費税等を控除した金額で計算します。

52,920円-3,920円=49,000円 ⇒ 5万円未満であるため印紙の貼付は不要です。

(2)領収書に消費税等が区分されて記載されていない場合

        領収証   

平成26年4月14日

○○様

¥52,920円(内消費税等 3920円)

○○代として上記金額を領収いたしました。

株式会社○○

52,920円 ≧5万円

印紙必要

消費税等の金額が区分記載されていない場合には消費税等を含めた記載金額で印紙税の計算をします。
52,920円 ⇒ 5万円以上であるため200円の印紙の貼付が必要です。

★ポイント
領収書等を作成される場合には、消費税等を区分して作成し、本体金額に対応する印紙を貼付するようにしましょう。
3.「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の拡充

「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」については平成26年4月1日以降平成30年3月31日までに作成される契約書について印紙税の軽減措置が適用されます。具体的には下表の金額となります。

契約金額 本則税率 軽減後の税率 軽減額
不動産譲渡契約書 建設工事請負契約書
1万円未満 非課税
1万円超~10万円以下 1万円超~100万円以下 200円 200
10万円超~50万円以下 100万円超~200万円以下 400円 200 △200円
50万円超~100万円以下 200万円超~300万円以下 1千円 500 △500円
100万円超~500万円以下 300万円超~500万円以下 2千円 1千円 △1千円
500万円超~1千万円以下 1万円 5千円 △5千円
1千万円超~ 5千万円以下 2万円 1万5千円 △5千円
5千万円超 ~1億円以下 6万円 3万円 △3万円
1億円超 ~5億円以下 10万円 6万円 △4万円
5億円超 ~10億円以下 20万円 16万円 △4万円
10億円超 ~50億円以下 40万円 32万円 △8万円
50億円超 60万円 48万円 △12万円

 

終わりに
これらの印紙の取り扱いについてはいずれも4月1日以後に作成される文書に対して適用されるため、今後は収入印紙の貼り間違いがないように注意が必要になります。もっとも、間違った金額の収入印紙を貼ってしまった場合でも、税務署へ手続きを踏むことで印紙税の還付を受けることが出来ます。印紙税についてお分かりにならない点がありましたら、弊社担当者へお尋ねください。

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