国税通則法の改正について
第107号
平成23年度税制改正では、「納税環境整備に関する国税通則法の改正」が行われました。
今回はこの改正のうち平成25年1月から施行される、税務調査手続に関する項目を中心に
お送りします。
国税通則法の改正について
(1)国税通則法とは
国税通則法は国税に関する一般法で、国税の納付義務の確定や納付・徴収・還付、附帯税、更正・決定、不服審査・訴訟などの共通事項をまとめた法律です。
(2)改正内容
平成23年度税制改正の概要
・税務調査手続の明確化(25年1月施行)
・更正の請求ができる期間の延長(23年12月施行)
・処分の理由附記等(25年1月施行)
(3)税務調査手続の明確化
税務調査における事前通知や調査終了などの手続は
これまで「通達等に基づき」実施されていましたが、
・調査手続の透明性及び納税者の予見可能性を高める
・納税者に対する説明責任を強化する
などの観点から、以下の事項について「法定化」されました。
① 事前通知
税務調査の際は、税務署等が原則として納税義務者および税務代理人(税理士等)に事前通知を行うこととされました。つまり納税者にも直接電話が行くようになったという事です。
ただし「事前通知をすると違法または不当な行為が行われるおそれがある場合や調査に支障を及ぼすおそれがある場合など」については通知をしない場合があります。こうしたいわゆる「無予告調査」ができる要件も法律に明記されました。
② 帳簿書類等の預かり
調査官が納税者の許可を得て帳簿書類を税務署に持ち帰ることは従来も慣行として行われていましたが、改正後は「必要があるときは預かることができる旨」が明記され、正当な理由がないのにこれを拒んだりすると罰則が科されることになりました。 ③ 調査終了時の手続
従来、全く申告に誤りがなく指導事項もない場合に限り、「調査結果のお知らせ」という書面(いわゆる是認通知)が出される場合がありました。
改正により、指導事項がある場合でも「更正決定等をすべきと認められない場合」には、その旨を書面で通知されることになりました。「更正決定等をすべきと認める場合」については原則としてその旨口頭で説明されることになりました。
④ 同一年度の再調査
従来は同一年度の再調査に関する規定はなく、一定期間が経過するまで何度でも調査が行われる可能性がありました。今回の改正で、同一年度の再調査をするには「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」という事が明記されました。
(4)更正の請求ができる期間の延長
23年12月より更正の請求ができる期間が法定申告期限から5年(贈与税は6年)に延長されました。(改正前:1年) これに対し課税庁が増額更正できる期間も5年に延長されました。(改正前:3年)
(5)処分の理由附記等
国税に関する処分の理由附記については従来、 原則として行うこととされていませんでしたが、
・申請に対する拒否処分
・不利益処分(税務当局の職権により納税者に対し て一方的に不利益をもたらす処分)
について、理由附記を実施することとされました。
(6)終わりに
税務調査手続の改正により、納税者の皆様にも直接連絡が行くことになりました。税務署等から税務調査の連絡が入った際には弊社まで御一報下さい。経験豊富なスタッフが対応させて頂きます。