中小企業の事業承継とM&A
第105号
最近新聞やテレビ等でM&Aのニュースが多く報じられています。そのため、M&Aは大企業のものというイメージを持ってしまいがちですが、実際、中小企業においても経営戦略として、また、後継者対策・相続対策として数多く行われています。
そこで今回は「中小企業の事業承継とM&A」について取り上げたいと思います。
中小企業の事業承継とM&A
1. 事業承継の手段
創業し、苦労して大きくしてきた会社の世代交代期にさしかかったとき、経営者の事業承継の手段は、主に以下の4つが考えられます。
① 上場
株式を公開して創業者利潤をとれ、会社の債務に対して個人保証が必要なくなります。また株式は市場で売却できるので相続税納税資金の心配もなくなります。しかし上場は利益や内部管理において厳しい基準をクリアしなければならず、ハードルが高く、選択するには大変困難です。
② 後継者(子供・社員)への承継
子供や社員への承継が一番多いと思われますが、最近は次の理由で困難になる場合が見受けられます。
◆子供への事業承継
イ.子供がいない。
ロ.子供が専門職(医者・弁護士等)についている。
ハ.子供はいるが能力的に継がせられない。
◆社員への事業承継
イ.株式を譲り受ける資金がない。
ロ.金融機関に対して借入れの個人保証に入れない。
① 廃業して清算
廃業の場合は社員を解雇しなければいけません。また、社員だけではなくこれまで支援してくれた得意先や仕入れ先など取引先にも影響を及ぼすことになります。
② M&Aによる会社譲渡
M&Aにより②の後継者問題を解決するのみではなく、譲渡により創業者利潤をとり、相続税納税資金の心配もなくなります。 したがって、リスクが少なく、創業者利潤がとれるM&Aによる事業承継を選択する経営者の方が急増しております。
2.M&Aとは
M&A(エムアンドエー)とは英語のMergers(合併)&Acquisitions(買収)の略です。つまりM&Aの意味は、企業の合併買収のことで、2つ以上の会社が一つになったり(合併)、ある会社が他の会社を買ったりすること(買収)です。またM&Aは企業の合併買収だけではなく、広く提携までを含めます。
M&Aの手法には株式譲受・新株引受・株式交換・事業譲渡・合併・株式分割などのさまざまな手法があります。
3.M&Aのメリット(買い手側)
会社を買う側にとっては新規事業として必要な設備、販売拠点、得意先、人材などを一括して入手できるため、ゼロからの立ち上げと比較すると金額的にも安く、時間的にもメリットがあり、リスクもはるかに少なくすむことです。
4.最後に
当社はM&Aのコンサルティング業務にも取り組んでおります。税金の負担にも大きな影響を与えますので、疑問や御相談がありましたらお気軽にお問い合わせください。