限定承認

東日本大震災に伴い、原則,3ヶ月とされている「相続放棄又は限定承認の申出期間(熟慮期間)」を本年11月30日まで延長する特例法が制定されました。これは、相続人となった被災者が知らない間に故人の債務を受け継ぐことがないよう配慮をした制度です。
通常,相続をするということは故人の財産だけでなく、借金などの債務も全て受け継ぎます。
しかし、この限定承認は相続した財産で債務を弁済して残額があれば相続することになります。
つまり、相続財産を限度に借金などの債務も受け継ぐことになります。(民法922)。
そのため,限定承認は,故人の債務がいくらあるのか見当がつかない場合などに有効で、便利な相続方法と思われがちですが
実際には、
・相続人全員の同意
・官報等で債権者等に公告する
などが必要で、手続き上面倒な部分があり、あまり利用されない場合が多いです。
この限定承認ですが、税務上、相続税の以外にも、限定承認をすることで被相続人に譲渡所得が生じることがあります。
民法上、相続による財産の取得は譲渡にはあたりません。
しかし、限定承認の場合は所得税法上、被相続人から相続人に時価で財産の譲渡があったとみなされるため
相続人が、相続開始から4ヶ月以内に準確定申告を行う必要があります。