広島カープ

 広島カープにリーグ優勝マジックが点灯し、25年ぶりの優勝へ向け、本拠地広島は大いに盛り上がっています。
 広島カープは、12球団で唯一親会社を持たず、「市民球団」と呼ばれています。球団の結成当時は、何度も経営不振に陥り、その度に市民による支援でくぐりぬけてきた歴史があります。現在はマツダが筆頭株主となっていますが、資金提供はせず、球団経営への積極的な関与も行っていません。他球団のように親会社から赤字補填のないなかで、40年にわたり黒字経営を続けています。
 黒字経営の要因として、選手年棒(コスト)の低さが挙げられます。昨シーズン、メジャーから復帰した黒田投手を獲得するまでは、FA選手の獲得は行っておらず、球団別選手年棒では常に下位に位置してきました。12球団随一ともいわれる若手育成力、ドミニカのアカデミーから無名選手の獲得等によって、独自の戦力強化を進めています。
 収益面では、地元に根差した運営、流行語大賞にノミネートされるほど成功した「カープ女子」等の新たな試み、本拠地のマツダスタジアムでの、ユニークなシートやイベントの実施によりファンを増やし観戦料・グッズ収入を増やすことに成功しています。球場に足を運んでくれる多くのファンに後押しされた選手たちが活躍し、さらに人気に拍車をかけることも容易に想像できます。
 野球人気が下落するなか、勝利最優先で高額年棒の選手を獲得することは間違いではありませんが、他球団とは異なるアプローチにより、ひときわ元気で盛り上がりを見せていることは注目です。
 これからシーズン終盤、クライマックスシリーズとどんな活躍を見せてくれるか興味深く見守りたいと思います。